工房閑話

 

 

2016年の予感

   

 2016年はテロの拡散、シリア難民問題の混迷、EUの亀裂、サウジ・イラン問題、北朝鮮の核実験等々、課題の多い幕開けとなった。1989年11月のベルリンの壁崩壊は、米ソ冷戦終結の象徴的な出来事として歴史に刻まれているが、壁を壊す民衆の映像は実に衝撃的であった。人々は等しく世界平和の到来に手応えを感じていたはずで、一体誰が今日の混迷を予測し得ただろう。人間社会の複雑さは、我々の想像力を超えつつあるのかも知れない。
 アメリカのビザもこの情勢に敏感に反映している。ビザ免除対象国民であっても、2011年3月1日以降にイラン、イラク、シリア、スーダンへの渡航歴がある場合は、ビザが必要となる。ビザの使命からすると誠に理に叶った措置で、テロ抑止に一定の効果が期待できるだろう。2016年は突然のルール変更に目が離せない年になりそうである。

       

           

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