工房閑話

 

 

確定申告(続編)

   

「国会は森友学園のような些末な事案にかかずらっていないで、重要案件に時間を使え。」と云う意見もあるが、税金を使うということは政府の最も重要な行為であり、この問題に対する国民の関心は極めて高い。何よりも、一市議が疑問を持たなければ、9億余の国有地が200万円で、粛々と売却されていたのである。しかも一応持ち主とされている納税者の知り得ないところでである。破格のディスカウント8億円の根拠については、強引で説得力の乏しい説明が繰り返されているが、つまるところ、さすがに赤字にする訳にはいかないので、ぎりぎりのところで売却益を200万円とし、ここから逆算したのだろう。これが官僚の知恵なのだろうか。


 安定政権を背景に権力を集中させている官邸の強力な人事権は、政治家のみならず官僚にまで及んでいるらしいが、印籠を出す前に役人が為政者の心の内を読んでいるとしたら、これはもう構造的な欠陥と云える。一部で報じられている加計学園も第二の森友なのだろうか。重要案件に対する国会答弁から見えてくる閣僚の資質に、首をかしげる場面も続いており、長期政権の負の側面が拡がっているように見えるが、「殿、お待ちを!」と言う忠臣はいないのだろうか。この貴重な警鐘を生かせるか、現政権の真価が問われている。


 今年の確定申告の苦労は格別だった。森友問題に触発され、「安易な、還付金辞退」は政府の節税感覚を麻痺させてしまうとの思いで、適正な納税額を限界まで追求したのだが、その労力は並大抵ではなかった。来年は心安らかに確定申告ができるだろうか。

 

2017年3月27日

           

 

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