工房閑話

 

 

グローバルとは?

 

 筆者が初めてニューヨークへ行ったのは、確か1980年頃だったと思う。映画やテレビ、あるいは教科書でしか知らない、世界で最も有名な街を初めて訪れるという、やや高揚した気分は今でも記憶に残っている。この間、東京都心の風景は一変したが、2001年のテロで消失したワールドトレードセンタービルを別にすると、マンハッタン島の眺めは今も変わらない。西海岸に比べると、費用も時間もかかる東海岸への日本人渡航者は、まだまだ少数派であり、進出企業の数も少なく、駐在員となると、「それはもう選ばれた(グローバルな)人間なのだろう」と云う印象を持っていたものだ。
 
 ITの恩恵を受けるまでに未だ20年以上を待たなければならない当時、旅行情報も質・量共に限られていたので、到着時にもらったニューヨーク支店作成の旅行情報は、非常に有難かった。観光、エンターテインメント、レストラン、買い物、交通等に関する情報がA4版1枚に要領よくまとめられていた。ところが、それ以上に裏面の最下段にあった以下の広告が注意を引いた。

 

  バケーションの手配及び日本行きの航空券の手配は弊社まで、    

  日本語でどうぞ

 

 ニューヨーク在住の日本人に語りかけているのであるが、最後の部分に違和感を持った。何故、「日本語でどうぞ!」なのだろう? 不覚にもこの疑問は、数年後の自身のアメリカ駐在まで、氷解することはなかった。

 

 

2018年5月28日

                        

 

           

 

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