工房閑話

 

 

新世界秩序

 

 第二次大戦後の世界秩序が崩れ始めている。アメリカの影響力の低下のなせる業と言えそうだ。

 

 予兆は既に前世紀にあった。アメリカ産業を象徴する町、デトロイトの凋落である。陰りが見え始めたフォード、GMに、引導を渡すかのような日本車の躍進に「ジャパンバッシング」と云う言葉がメディアに登場するようになった。とは言え、当時のデトロイトはまだまだ勢いがあり、一日の始まりには、川を挟んだウインザーから、大勢いのカナダ人が出勤してきていた。しかし今や、繁栄の象徴だったこの五大湖地域は、ラストベルトと云うあまり美しくない呼称で注目され、トランプ政権発足に一役買っている。

 

 この政権の哲学は、もしあるとしたら、アメリカファーストだろうが、未だに意気軒高な支持者の存在と地政学上の恩恵を考え合わせると、必ずしも荒唐無稽とは言い切れない。伸長する経済・軍事からすると、新秩序の担い手は中国だろうか。果たして、「100パーセント共にある」我が国の外交は機能していくのだろうか。困ったことに中国のビザに、コンサルタントの出番は無い。

 

 

2018年6月27日

                        

 

           

 

工房閑話に戻る