工房閑話

 

 

「ペイトー」とは

 

 2020年度から本格的な英語教育が小学校に取り入れられるらしい。

 

 アメリカ駐在時、子供たちの英語修得には思いのほか苦労した。生活の場は完璧な英語環境であり、またアメリカの学校は実に寛容で、新着の2人のためにバイリンガルのクラスを設けてくれたので、たかを括っていたのだが、一向に上達しない。この間、彼等にも相当のフラストレーションがあり、土曜日の日本人学校での友達との日本語での会話が癒しになっていたようだ。家庭教師も頼んでみたが、なかなか成果が見えなかった。ところが2年半ほど経ったころだろうか、状況が一変した。アメリカの子供達とも自然に意思疎通ができており、テレビを見て笑ったりしている。私と家内は全然笑えないのだが・・・。

 

 ある時、「ペイトー」と云う聞きなれない言葉を耳にした。息子が発していたのだが、何だろうと尋ねると「平等」と云う漢字を見せられ、複雑な思いに捉われた。日本語を何とかしなくては!

 

 駐在4年目の後半に入った頃、帰国後に備え子供たちを塾にやることにした。勤務終了後に塾に迎えに行き、駐車場で授業終了を待っていると、日本にいるような錯覚に襲われた。日本を遠く離れ、アメリカにどっぷりつかった生活をしているはずなのだが・・・。何とも不思議な感覚だった。翌年の春、家族は受験準備のために、私を残して帰国した。

 

2019年11月25日

 

 

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