工房閑話
朝貢外交
「朝貢外交である。」
トランプ関税に関する日米交渉の場に於ける赤沢大臣の振る舞いを、立憲民主の野田代表が党首討論の場に於いて非難している。
留学僧空海が遣唐使の一員として海を渡ったのはおよそ1200年前。第3船、第4船が遭難するも、彼が乗った第1船は嵐のために航路を大きく外れながらも福州に漂着する。ここでは海賊の疑いをかけられたが、大使に代わり嘆願書を書き、その洗練された文章と筆跡により遣唐使であることが認められた。さらにこのあと3千キロもの陸路を踏破しようやく長安に到着。日本を発っておよそ半年、その苦難は想像を絶する。朝貢という形式をとっているが、周知のとおり、命がけの渡唐がもたらした我が国への貢献は計り知れない。実に格調の高い朝貢外交である。
時々近所のペットショップを覗いている。私は猫派を自認しているが、店のお姉さんに甘えるワンコの愛らしさには、その自信が揺らぎそうになる。人を微塵も疑わない無償の愛に、残念ながらニャンコのそれは遠く及ばない。赤沢氏の「トランプ大統領が格下も格下の自分に話してくれたことに感謝している」と云う趣旨の発言が物議を醸しているが、報道されたいずれの写真からも、喜びを隠さない様子が見てとれ、氏の人柄が伝わってくる。心なしかトランプ氏の笑顔も好好爺のそれに見える。忖度集団に取り囲まれ、駆け引きと恫喝に明け暮れているトランプ氏には幸福なひとときで、脳細胞の休眠状態の領域に響いたのではないだろうか。そもそもディベートでは上がり目はない。
赤沢亮正氏インスタグラム(@akazawa_ryosei)
2025年4月25日