工房閑話

 

 

 

経営・管理ビザ

 

 アメリカのビザに続いて、日本のビザが話題に上っている。新たに導入された経営・管理ビザで活動する外国企業等が社会問題を起こしていると云うのである。同じビザ問題だが、アメリカはハードルを高くし、日本は低くしている。

 

 出入国在留管理庁の説明を見ると、滞在資格「経営・管理」と定義されていた。この資格を取得する主な要件は次の3点。


1. 事業所の確保
2.事業の規模が以下の何れか
 ・日本人またはそれに準ずる滞在資格保持者の2名以上の雇用
 ・資本金の額、または出資金総額が500万円以上であること
 ・上記に準ずる規模であること
3.申請者が管理に従事する場合、3年以上の経験が必要

 この規定では、巷間、経営管理ビザで溢れるだろう。その簡便さをメディアも指摘しているが、諸外国の制度との比較として、必要な出資金の違いを取り挙げていた。曰く「日本の500万円に対して、米国は20万ドル程度」。E2ビザとの対比だと思うが、それは序の口、そもそも米国ではこのように定量的な数値は示されていない。その事業を営む相応な額を米国外から出資しなければならない。その規模は投資家と家族の生計を支えるために必要な金額をはるかに上回る額が求められる。また、口座に置いておくだけでは投資とは認められず、形ある投資が必要で、厳しく本気度が問われている。

 

 同様に外国人の自動車免許の問題が報じられているが、恐らく、先進国に於いて、自国民よりはるかに易しい試験で外国人に運転免許を発給している国は皆無だろう。国民の安全に直結する問題で、現状は無謀と云うしかない。

 

 インバウンドブームで前のめりの開放が拙速で進んでいるが、副作用も顕在化してきている。このことは極端な排外主義に繋がり兼ねない。関連する制度設計に、世界に冠たる日本の優秀な官僚の手腕発揮を期待したい。

 

 

                            2025年6月30日

 

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