工房閑話

 

 

グローバルスタンダードということ


 旅行社、ホテル、航空会社等の旅行業志望の大学生にビザの講義を始めて5年になる。恐らく日本で唯一の講座だろうが、講義内容について的の絞り方が分かってくるにつれ、次第に手応えが感じられるようになってきた。世界でも稀なケースだと思うが、日本に於いてはビザの相談が旅行社に来る。にもかかわらず、そのニーズに応える体制が充分とは云い難い。情報通信の発達により、旅行者の方がより豊富な情報を持っていることも珍しくない時代にあって、数少ない専門性を発揮できる分野なので、ビザに関する基礎をきちんと理解して、顧客のニーズに向き合えるようになることを目標としている。その道のプロフェッショナルになる必要はないが、基本的なアドバイスができると、顧客の信頼を勝ち取ることも可能である。また、その思考方法は他の業務修得への波及効果も期待できる。


 学生は、ホスピタリティーが重視される業界を目指すだけあって、礼儀正しく好感が持てる若者が多いが、惜しむらくは積極性に於いて物足りない。その中で、熱心に質問してくる学生がいる。中国からの留学生達である。納得するまで聞いてくる。その能動的な姿勢が新鮮である。日本のビザも自分自身で手続きしているに違いない。一方、米国に留学する日本人学生はどうだろう。統計はないが、自身でビザ手続きを行っている割合は、恐らく20%に満たないのではないだろうか。ビザ手続きも留学の重要なパーツなのだが・・・・・。


 

 この切り口で見ても、どうも我々のDNAはグローバルスタンダードとの相性が良いとは言えないようである。

 

 

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