アメリカビザ解説

 

 


Lビザ 不許可の例

<概要>
日本の親会社: 中堅工作機械メーカー
転勤先:    在アメリカ子会社
ビザ申請者:  40代前半(営業・管理職) 


<経緯>

  • アメリカの子会社へ出向するためのビザについての相談を受ける。
  • この段階で既に、この子会社が、ある弁護士事務所に依頼し、移民局許可取得の申請を済ませていた。大使館でのビザ申請の準備のために、移民局に提出した書類のコピーを提供してもらったところ、申請はL1Bでなされていた。但し、内容を見る限り、まず許可されないであろうことが予測できたので、一応そのむねを伝える。
  • やがて移民局から追加資料提出の連絡があり、この弁護士事務所が対応したが、最終的に不許可となる。

 



<考察>

  • 次善の策として、 L1Aで申請し直し、ビザを取得し無事赴任することができました。最悪の事態は避けられたのですが、赴任が半年近く遅れたこと自体の支障のみならず、相当な経費・労力を浪費する結果となりました。
  • 申請に際し最も重要な点は赴任後の職責と経歴です。L1Bは高い専門性が求められますが、要求されるレベルについて具体的なガイドラインが明確に示されていないことが手続きを困難にしています。特にこの数年、アメリカの景気後退による失業率の悪化で、明らかに審査基準が厳しくなってきています。最近このガイドラインについて改善勧告がなされていますが・・・。但し、当該ケースはそれ以前に不許可の可能性が極めて高い申請内容でもありました。営業のスペシャリストであれば、現法のポジションが高度でかつ企業独自の販売手法やマーケットリサーチの方法等のノウハウを必要とすること、また申請者にその能力がある事を証明しなければなりません。お気づきのように、これはそう簡単ではありません。そのような仕組みを持っている日本企業は極めて稀でしょう。このケースでは、この高い専門性の説明が明らかに不足していました。
  • 対策としては次の2点が重要です。まず力のある弁護士事務所を選定すること。また、取得の可否について、弁護士事務所の見解を聞くこと。

 

 

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